高校、中学、えっ小学校でも!?CAD授業最前線
現代の小学生・中学生・高校生は、生まれたときから携帯電話はもちろん、PC、インターネット環境が家庭にあった、いわゆる「デジタルネイティブ世代」。建設系の勉強をする高校はもちろん、中学校でもCADが授業で使われています。
高校の建築設計授業ではCADが使われています
「全国高校生建築製図コンクール」という製図コンテストがあることを知っている人は少ないかも知れません。これは「東日本建築教育研究会」が毎年行っているもので平成26年度の表彰は2014年12月に第33回の表彰が行われました。
数年前、このコンクールの課題に合わせた設計図面を見たことがあります。それは2年生がCADで描いたもので、縮尺1/100の、配置図・平面図・立面図、そして屋根伏せ図は、そのまま建築確認に出してもいいレベルで、デザイン性も高く驚いた記憶があります。
そこで、「現在の高校の授業でどれくらいCADが使われているのか?」ということを調べてみました。そこで「工業高校における建築CAD教育の課題に関する調査」という2012年3月に一般財団法人建設情報技術センターが作成した報告書を見てみました。
約3年前の調査ですが、ざっと目を通してみると、ほとんどの建築教育はCADで行われています。時代の流れを考えると当然ですが、「CADソフトによる建築CAD教育実施を行っているか?」の質問では98%の高校が「行っている」と回答しています。
この数字から「ほぼ、すべての工業高校でCADを使っていること」が分かります。ちなみに使用2Dソフトは、Jw-CADが最も多く76.5%、次いでAutoCADが13.9%。3番目がVector Worksで0.9%ですが、プロの世界とあまり変わらない印象ですね。
導入時期で一番多い数字は「1999年までに導入済み」が34.2%。その後10%くらいずつ増え続け3DCADも導入されてる学校がほとんど。そして、卒業後は地元の工務店やゼネコンに就職している例が多いのも特徴です。
なんとなくCADスキルは高校卒業後に専門学校や大学などで取得するイメージもあるのでは? でも、いまでは工業高校という専門的な教育機関とはいえ、高校生がCADオペレーターの技術を取得して、卒業後、即戦力で働いている若者が多いことがうかがえます。
中学校の技術科ではCAD授業が行われています
そして中学校の技術・家庭科の授業でもCADが使われています。かつては本棚をつくったりする「工作の時間」イメージが強かった技術の授業ですが、2011年に改正された「新学習指導要領」から、ずいぶん様変わりしています。
「技術分野」では、A 材料と加工に関する技術、B エネルギー変換に関する技術、C 生物育成に関する技術、D 情報に関する技術の4項目。特にDの「情報に関する技術」では
「デジタル作品の設計・製作」があり、ここでCADの授業を行っています。
中学校の技術科の授業では、なんと3DCADを使って製図と3D加工を行っている中学校もあるそう! 簡易な3Dデータで設計・製図して、キーホルダーなどの小物をつくるそうですが、ちょっと驚きませんか?
また2013年にイギリス政府が発表した小学校教育のカリキュラム変更は、話題になりました。イギリスでは国策として、小学校(7歳から!)でプログラミングやCADを学習して11歳になると3Dモデリングでコンピューターを設計に取り入れる方法を学ぶそうです。
そして日本の小学校もコンピューティング化が進んでいます。佐賀県の公立小学校では、2011年からタブレット型端末(iPad)と電子黒板を使った授業が行われていてニュースになりました。まだ、実験段階だとは思いますが、今の子供たちは、感覚的にタブレットなどの方が形の勉強(=幾何学系の算数)などは勉強もはかどるかもしれませんね。
最後に
工業高校でCADが使われていることは知っている人も多かったかと思いますが、普及率が100%に近い状況とまでという認識していた人は少なかったかも……。
工業高校の入試は場合によっては、製図試験もあるので、中学の技術で学んだCADスキルは大いに役立つでしょう。
いまの小学生~中高校生は「超デジタルネイティブ世代」。彼らが、これから、どのように成長して新しい社会を盛り上げてくれるのか、楽しみですね!
紹介したようにCADは特別ではなく「普通のスキル」になる時代がくるかもしれません。
そして、現役のCADオペレーターさんも、これからはお子さんから情報を得ることが増えるかも? それはそれで、たのしい状況になりそうな気配です。