CAD資格試験で必須!「手描き図面」に必要な製図道具たち
建設系の仕事の現場の図面は、いまはCADが主流。でも、建築士はもちろん、インテリアコーディネーターなどの資格試験には「手描き図面」のスキルが必須なのです! そんな手を使って描く図面に必要な道具たちを中心に紹介します。
CAD以外に「手描き図面のスキル」は必要なの?
かつては手描き図面が主流だった建設分野でも、CADソフトをつかった図面作成が、いまでは「あたりまえ」です。定規などを使っていた手描き図面からCADに移行したことで、さまざまなメリットが生まれました。
たとえばCADでは、図面データを複数の人間が同時に活用できる、寸法を入力すれば寸法値が自動表示されるといった多くのメリットがあります。ある意味CADは「製図の知識・技術がなくても図面が描ける道具」といってもいいかもしれませんね。
でも建築士やインテリアコーディネーターなどの実技試験は手描き図面で行われています。こうした試験が、いまだに手描きなのは実施側のPC環境が整えられないだけ、という事情もありそう……。実際の現場での普及率からみると試験も近い将来CAD化することでしょう。
でも資格試験では当分の間「手描き」のスキルが必要とされそうです。そこで、建築士関連の資格試験に持ち込めるものを中心に、手描き製図に必要な道具たちを紹介しましょう。
建築士などの実技試験に持ち込める製図道具たち
一級、二級建築士、木造建築士の設計製図の試験に「持ち込めるもの、持ち込めないもの」を紹介します(参考:平成26年実施要綱)。これは、試験用に決められた道具たちですが、手描き図面の基本的な製図道具たちです。
1:必ず携行するもの
黒鉛筆(HB又はB程度、シャープペンシルを含む)と消しゴムとなっています。これは、当然ですよね。いまでは鉛筆よりも製図用のシャープペンシルを使う人がほとんどでしょう。
2:携行できるもの
まず、製図板、T定規、そして平行定規とあります。でも製図版単体とT定規を組み合わせて使う人は、ほとんどいないのでは? 「平行定規」と呼ばれる製図版が一般的で、マグネットで紙を留めることができるタイプが便利。
そして、その他の定規として、三角定規、勾配定規、型板などがオッケーで、三角スケール、コンパス、消し板、電卓などの使用が認められています。詳しい情報は、公益財団法人建築技術教育普及センター(http://www.jaeic.or.jp/)でチェックしてくださいね。
なかでも「三角スケール」は一般的に1/100とか1/500、などのスケール(縮尺)を測ることができる便利なもの。これはCADオペレーターの方々も、プリントされた図面のチェックに使っている人も多いでしょう。
一般的な三角スケール(出典:Wikipedia)
3:携行できないもの
ドラフター、文字用以外の型板(テンプレート)、点線・破線等を引くことができる型板、メモ用紙、トレーシングペーパー…、などとなっています。
ドラフターと、持ち込める「平行定規付き製図版」はよく似ていますが、ドラフターは主に機械製図に使われていた大型の精密な製図マシン。建築関連ではあまり使われていませでしたし、試験会場に持ち込もうとしても大きすぎて、まずムリです。
そして、建築士関連では認められている便利な勾配定規ですが、インテリアコーディネーターの実技試験では持ち込み禁止。このように製図実技でも持ち込めない道具もあるので、資格取得を目指している人は注意してくださいね。
最後に
今回、紹介したよう手描き図面は、いまでは「資格取得向けだけのスキル」という側面もあります。でも、「製図の基本はゼッタイ手描き!」という人は少なくありません。実際、CADを教える専門学校などでもPCに触る前に、手描き図面のトレーニングから入るところも多いよう。
たしかに、製図には多くの知識が必要です。縮尺の考え方、線の種類や太さ、記号、寸法の入れ方などなど…。でも、いまでは「CADか手描きか?」といったことに意味はありません。どちらにしても「ツールの選択と、使い方の問題」でしかないのですから。
でも、現実として建築やインテリア系の資格が欲しい場合は、しばらくは、手描き図面の技術が必要なことは覚えておきましょう。そして、たまにはPCスクリーンから離れてフリーハンドで図面を描いてみてください。CADオペレート操作とは、まったく違う新鮮な発見があるはずです。