「建築」と「建設」。それぞれの意味をおさらいしましょう!
みなさんは、建築と建設の違いはお分かりですか? CADオペレーターの求人でも、この2つは混在して使われていることもあるようですね。字面はよく似ていますが、それぞれの意味は違うのです。
そこで、建“築”と建“設”の違いを、整理しておきましょう。
そもそも建築とは?そして建物との違いは?
普段、何気なく使っている「建築」というコトバ。でも、その意味をはっきりといえる人は少ないのでは? 建築というコトバは古くありません。明治時代に英語のArchitectureの訳語としてつくられたもの。当初は「造家(ぞうか)」と訳されていました。
造家=家を造る、というと「家づくり」とイメージしやすいですね。明治時代には「造家学(ぞうかがく)」という学問があったのですが、その後、築地本願寺などを設計した伊東忠太が、より本来の意味に訳語として「建築学」に改めたという経緯があります。
この明治時代に生まれた建築というコトバが現在まで使われていているのです。建築は現在の国語辞典的な意味合いでは[家屋などの建物を、土台からつく上げること。また、その建物やその技術・技法。「注文―」「木造―」](大辞林より)。
ですが、家屋=住宅やいろんな建物だけでなく、もちろん法的には高層オフィスビルや工場などの大型な建物も「建築物」として扱われます。ですから、ほとんどの建物のことを建築と呼ぶと考えて間違いないでしょう。
建築基準法では建築物の定義を以下のように設定しています。
<建築基準法>
法第2条(用語の定義)この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 建築物
土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。
それでは、よく似たコトバ「建設」について次に解説します。
「建築」は「建設」に含まれる業種なのです
建設会社とか建設業者というコトバも日常よく目にしますよね。この「建設」は英語で「construction(コンストラクション)」と呼ばれるもの。建設の中に、電気設備関連の「電設」という分野も入ってくる場合もあります。
つまり、「建築」⊃「建設」で、建築は建設に含まれるということ。ちょっと紛らわしいですが……。総合的な建築業者のゼネコンなどの場合は、建築も土木そして電設などの設備系も守備範囲なので、「○○建設」といった社名が使われることが多いのです。
「建築業」という業種では建築や土木に関する設計・施工を行います。たとえば「建設系CADオペレーター募集」という求人があった場合は、かなり広い範囲を指しています。ですから、その仕事の内容が自分のスキルとあっているかどうか、よく確認しましょう。
また、建設関連の職種は「建設業法」という法律で、かなり細かく分類されています。詳しくは、国土交通省の「建設産業戦略的広報推進協議会」のサイト「建設現場へGO!」に情報が掲載されているのでチェックしてくださいね!
建設現場へGO! http://genba-go.jp/
最後に
CADを勉強する職業訓練校などではCADオペレーター訓練が「建設関連」としてくくられている場合も多いよう。AutoCADには、土木に特化した「AutoCAD Civil 3D」もありますし、jw-cadをはじめ、多くのCADソフトは建築・土木、両方のの現場でも使われています。ですから最初は「建築」「建設」の違いは、あまり意識しなくてもかまいません。
建設とは「建築や土木、場合によっては設備も含めたものであること」を押さえておけばオッケー。それぞれは関連していますし、「町や建物に関する、ものづくり」という意味では同じです。建設業界にある、さまざまな職種の違い分かってくればCADオペレーターとして仕事の選択肢が広がっていきますよ!